小説

演劇部のお姫様
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●お姫様

オレは購買で買ったメロンパンを口の中に入れた。

よく噛んでから飲み込む。

そしてコーヒー牛乳を流し込んだ。

教室中が学校祭の準備に忙しそうに動いていた。

オレはそれを横で見ながら指示を出す。

「藤沢、こっちは何する?」
「こっちはどーすりゃいいんだ?」

男子達が一生懸命なのを見ずに女子達は化粧をしてお菓子を食べている。

1番仲が良い珠樹はダンボールにペンキを塗りながら不満そうに文句をこぼした。

珠樹は本当は頭がいいのだが勉強態度が悪いためレベルが高い高校に入らなかったのだ。

髪の毛も部分染めをしていてロック系の格好が好き。

女子にももてているらしい。

「何で女子は仕事しねぇのかねぇ〜・・・男子は頑張ってんのによ」

珠樹をなだめさせた。

「そう言うなって、たまき。それに学校祭までまだ4ヶ月もあるんだし」

何故こんなに早くに用意をしているかというと去年のことがあるからだ。

去年もこのように女子は手伝わずに学校祭準備がかなり遅くなってしまったのだ。

学校祭実行委員のオレがクラスをしきることになっているのだ。

担任にも許しをもらっている。

このレベルの低い郷田学校はほとんど学活の時間は自由時間のようなものだ。

「篤史もペンキ塗りくらいしろよ;」
「えー」

オレは珠樹にはけを渡されて赤いペンキ缶に突っ込んだ。

適当に塗ると珠樹が怒鳴った。

「何してんだ!学校祭を馬鹿にしてんのかぁ!」

珠樹は妙に学校祭が好きで1番力を入れているのも珠樹だ。

学校祭は『オレ達の夢の国』らしい。

「すいません・・・;」

オレは珠樹に言われて丁寧に塗ることを強いられた。

こういう作業は好きじゃないんだけどなぁ・・・。

「なぁなぁ学校祭のステージでは何をするのかもう分かったのか?」
「あぁ吹奏楽部と落語部くらいかな」
「そうなのか。・・・あれ?」

珠樹は思い出したかのように天井を見た。

「演劇部ってなかったっけ?」
「演劇部は2年前くらいから廃部になってるぞ」
「そうなのか!?」

多分廊下の掲示板が管理されていないのだろう。

2年前の部員募集の張り紙が未だに誰も使っていない校舎の廊下にあるのだ。

特に興味がないのだろう。
それ以上は訊かなかった。

珠樹ははけをペンキ缶の中に入れて休憩をした。

オレが抱えているビニール袋に入っている大量の菓子パンの1つを奪って口に詰め込んだ。

「おま・・・オレの昼食!しかもアンパン!」
「いいじゃん。糖分多すぎ」
「金返せよ!」
「はいはい」

珠樹は財布から100円を出して投げた。

それを受け取るとポケットの中に大事そうにしまった。

「篤史、今日路上ライブしようと思ってたんだけどお前も・・・」
「嫌だ」
「即答かい;だろうと思ったよ;」

珠樹はオレが目立つことをするのが嫌いなのは知っていてあえて誘ったのだ。

オレ等は3人でグループを組んでいて誰もいない所でこっそり演奏している。

だが珠樹はお小遣いに困っていて最近「路上ライブをしてお小遣いを稼ごう」という考えを出してきた。

もう1人のかずみは賛成だがオレはどうしても嫌だった。

「何だよ〜一美は賛成してんのにさ」
「一美は目立ちたくてグループ組んでんだろ」
「そうだけどなぁ・・・」

一美は隣のクラスの男子で家は金持ちのくせにお金を持っていないある意味貧乏野郎だ。

どちらかというと珠樹寄りの趣味でビジュアル系バンドを目指しているとか・・・。

珠樹がボーカルとベースでオレはベース、
一美はドラムもギターもなんでも出来る。

一美の家に楽器がたくさんあるらしい。

この前家のベースを弾かせてもらったことがあった。

2人に比べたらオレは派手なほうじゃなく、
チェックを中心とした格好で話かけられやすい方だ。

「考えてくれよ。ボーカルはオレなんだし篤史はそんなに目立たないと思うけどな」
「いつかな」
「ひえぇ・・・;」
「はーいそこの女子ー」

オレは女子に手伝うように言うと女子は面倒くさそうな顔をして適当に床に座った。

「君はこれ塗って。で、君はあっち行って組み立てて」

女子は顔を見合わせて何か文句を言いながら自分の場所に行った。

「ってかこの学校私服でよかったよね」

珠樹が休憩を終えて仕事を再開した。

「そうそう。そのまま遊びに行ったら補導されるしな」
「そうそう補導・・・って何言ってんだ!」

珠樹はのり突っ込みをしてくれた。

「制服ってださいじゃんか!」

オレは珠樹の鋭い突っ込みチョップをかわした。

学校祭の準備は進んでいった。

このままだと学校祭には間に合いそうだ。

担任の朝津が教室に入ってきて大声を上げた。

「お前等もう帰っていいぞー役にたたんからなー」

生徒達は文句を言い合いながらふざけ合った。

クラスメイト達がぞろぞろ帰っていく中、
オレと珠樹は残った。

朝津がオレの横に腰を下ろした。

「よぉお前等は偉いなぁ」
「あっつーも手伝ってよ」

朝津はみんなから『あっつー』と無理矢理のようなあだ名を付けられている。

仲がいい先生達にも呼ばれているともある。

「先生はこれから職員会議が・・・」
「ウソ付け。今は学活の時間だし」
「くそぉ〜!」

朝津は女子がほったらかしにしていったはけを握って悔し涙を流した。

「篤史と珠樹は一美と一緒にバンドやってるんだろ?」

朝津は色塗りをすぐにやめてダンボールの組み立て途中の物を眺めた。

「あぁ!」

珠樹は嬉しそうに答えた。

「今回の学校祭に出ればいいじゃないか。きっと盛り上がるぞぉ〜」

珠樹はオレの顔を見て笑った。

「なぁ篤史・・・」
「却下!」
「あっつー聞いてくれよぉ!篤史の奴全然ライブしてくんないの!」

珠樹は朝津に助けを求めてすがりついた。

「そうなのか。何でだ?お前音楽は得意だろ?」

オレは無視してペンキを塗った。

最後のスペースを塗り終わるとオレは組み立てに入った。

「あっつーは恥ずかしくないの?人前で歌うの」
「そりゃぁ恥ずかしいなぁ。先生はもうおじさんだし・・・」
「そうじぇねぇし;」

朝津は大きく笑うと床に転がった。

子供のように生徒と接する朝津は人気があった。

中年で加齢臭が気になるおじさんなのにそんなの気にせず女子にたわむれ、
その女子も全然のそんなの気にせず絡み合ったりする。

休み時間には廊下鬼ごっこで遊んだこともあった。

指導の先生にも怒られたこと多し・・・。

「でも折角バンド組んでんだから人前に出なきゃなぁ〜もったいないぞ」
「分かってるけど・・・」

珠樹は組み立てを終えるともよおしたのかトイレに駆け込んだ。

廊下をのぞいてみると物音1つ聞こえないが、
居残りをさせられているクラスもあった。

朝津が後ろのドアからこっそり出ていくのが見えて捕まえようとしたが逃がしてしまった。

「あっつー!;」
「先生は馬鹿じゃからさいならぁ〜!!」

朝津は舌を出して廊下を走っていった。

こんな先生で後が心配だ。

トイレから帰ってきた珠樹はすぐに朝津がいないことが分かって諦めながら作業を開始。

今回の学校祭でオレ等のクラスは『戦争』についてをやる。

戦争と言っても外国側から見たもので空想の世界のものだ。
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