小説

涼城 光夜の弾丸
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●プロローグ

真っ赤な液体。

黒いビー玉。

全部全部周りに広がっているものお母さんのだよね?

お父さんのだよね?

顔を上げるとそこは真っ赤な部屋の中。

どうしてこんなことになってるんだろう。

記憶がない。
全く覚えていないんだ。

「―君かな?」

男が声をかけてきた。

酷くぼやけて聞こえた。

自分と目線を合わせて男はニッコリと微笑んだ。

「どうしてこんなことになったのか覚えている?」

首を振る。

「そうか・・・仕方ないよね・・・こんなだもん」

男が何を言っているのか分からなかった。

どうしてこうなったのか教えて欲しいのはこっちなのに、男はそれだけ言って立ち去ろうとしていた。

「待って・・・」

男は振り向いてしっかりと自分の目を見据えた。

「連れてって・・・」
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