小説

少年達の舌
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●プロローグ

「ねぇ愛子ちゃん、はなことばって知ってる?」
「はなことば・・・?」

浩介君は笑って頷いた。

近所の男の子。
幼稚園も一緒小学校も一緒。

女の子みたいに可愛くって、
泣き虫で。

私は昔から浩介君のことが大好きだった。

私は首を振って浩介君の顔をじっと見つめた。

「愛子ちゃんは3月3日うまれだよね?」
「うん」
「3月3日はね、桃の花の日なんだよ」
「へぇ、そんなのがあるの?」

浩介君は空を指した。
空ではない。
桃の木だった。

「はなことばは『気立てのよさ』だって」
「『気立て』・・・?ってなぁに?」
「ぇ・・・僕分かんない・・・」
「え〜!意味分かんないんじゃ意味ないんじゃないの?」

私が言うと浩介君はしゅんとして涙目になる。

私は慌てて浩介君のなだめた。
またすぐに泣くんだから・・・。

それでも泣き止まない浩介君を彼よりも小さな私は抱きしめてあげた。

こうすると浩介君はすぐに泣き止む。

「浩介君は男の子なんだよ?もっとしっかりしなきゃダメなんだからね!」
「うん・・・僕愛子ちゃんのために頑張るよ」

浩介君は目をこすって私に笑ってくれた。

ずっと一緒にいられるんだ。
そう思っていた。

でも浩介君は何処かに行ってしまった。

引越しだってお母さんは言っていた。

私はさみしくて悲しくて1日中泣いていたのを覚えている。

私はお母さんに頼んで浩介君に手紙を書いた。

泣き虫の浩介君がさみしがって泣かないように。

しばらく手紙を交換し合っていたけど中学生になって引越しが多くなってその手紙は途絶えた。

浩介君のことを心配しているお姉さんの気持ちだった私はいつしかいなくなっていた。



『こーすけくんへ
 わたしはないてないからこーすけくんもなかないでね。
 またあそんでね。
 ばいばい。』



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