小説

プラスチックの妹
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●プロローグ

万引きをした。
謝りに来たのは働きに行っていた母の代わりに家を任されていた姉だった。

姉は何度も店の店主に頭を下げていた。

夕方の帰り道、
姉は泣いていた。

自分が万引きをしたことではない。

何で泣いているんだよって言うと姉は「お母さんが悲しむ。今日のこと言わないでね」って鼻をすすっていた。

自分が情けなくなった。

我がままを言えない性格で、
父がいない家は貧乏で自分は欲しいものがあっても言えずにいた。

その貧乏の家の助けになろうと姉は必死に働いていた。

そんな姉が結婚して家を出て行った。

自分は当時働いていて家の生活は楽になっていた。
そういうのがあって姉は安心して嫁に出たのだろう。

「お人形遊びばかりしてないで勉強もしなさいよ?」
「うん。分かってるよ。お兄ちゃん、また後で遊んでね?」
「いいよ」

愛らしい笑みを浮かべる2人の子供達。

子供達を愛している両親。
親を愛してくれている子供。

家に遊びに来る姉夫婦を見ては自分もそんな家庭を築きたいと思えてきた。


あなたになら子供達を任せられるわ。


姉がふと洩らした。


もし子供達が独りになってしまった時が訪れたらあの子達の助けになってあげてね?


姉の微笑みはいつも弟である自分に向けられていたものとは少し違っていた。

母親の顔になっていた。

自分は頷いてまだ小さい子供達を見る。


不吉なこと言ってんじゃねぇーよ。


口悪く言っても心の中では「まかせとけ」という気持ちでいっぱいだった。

そして姉への謝罪と感謝の気持ちでもいっぱいだった。
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