小説

僕に子供を下さい
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●プロローグ

「我々は危機を迎えている」

眼鏡をかけた中年の男が眉間にシワを深く刻んでうつむいた。

「確かに最近は少なくなっている・・・」
「ここは若いものに頑張ってもらはなくては」
「それは分かっている。しかし我々だけでは難しいのではないだろうか」
「ここ10年で我々の間で産まれたのはたったの5」
「・・・5」

次々と呟く男達。

そこでその中で1番若い男が言った。

「最終手段を考えようじゃないですか」
「何か考えが?」

男達は一斉に同じ方を向いた。

若い男はにこりと爽やかな笑みを見せた。

どの女性でも飛びつくような母性をくすぐる可愛らしい笑顔。

「僕等一族で無理なら他の方に産んでもらえばいいんです」

男の一言で一族が動き出した。
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