小説


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●プロローグ

そういえば、
みやびは桜が好きだった・・・


「ねぇ春彦、この玉子焼きちょーだい」
「何言ってんだ。オレの弁当がなくなっちまうじゃねぇか」
「弁当の中身玉子焼きだけじゃないでしょ!」

みやびは弁当箱の中の玉子焼きを箸で刺した。

そのまま口の中へ入れた。

「あぁ!」
「あ〜おいしい・・・。春彦の玉子焼き、本当においしい」

みやびはニッコリした。

「おかずが1つ減った・・・。オレはもう部活に出られない・・・おしまいだ!」
「バカ」

弁当箱のふたでオレをたたくと、みやびの弁当箱の玉子焼きをオレの弁当箱に入れた。

「春彦おーげさすぎ」
「ヘヘ!ラッキー!」

昼食時間になるとオレの友達の悟とみやびの友達守と4人で食べている。

まぁ4人と言っても悟と守は恋人同士だから結局はみやびとオレで食べているが・・・。

でもそれでいいと思っている。

小さい時から大好きなみやびと2人で食べられることはいいことだからな。

「春彦いいなぁ。料理うまくて・・・」

みやびは箸をくわえながら言った。

「そうか?男が料理上手くてもなぁ・・・」
「そうかなぁ〜。私みたいに料理作れない人と結婚すればいいじゃん?私なんて料理できないから一生結婚できないよ・・・」
「そんときはオレがもらってやるよ」
「・・・春彦・・・?」
「さってと。行くかな」

オレはみやびと目を合わせないように席を立った。

「っあ、どこ行くの?」

みやびも立ち上がった。

「誰かさんに玉子焼き食われたからパン買ってくる」
「なっ・・・!?」

みやびの顔が赤くなった。

「ウソ。外行ってくるだけ」
「ウ・・・ウソつくな〜」

オレは笑いながら玄関に向かった。

1人でニヤニヤしているオレは他から見たら怪しいだろう。

オレが外に行く理由はちゃんとある。

桜を見に行くのだ。

教室から桜は見えない。
桜の木をどうって訳じゃないけど見たかった。

ちょうど先輩が咲いたって言ってたし。

先輩が言っていたように桜は咲いていた。

しかも満開だ。
来たかいがあったな。

「春彦!」

みやびがパタパタとかけてきた。

栗色の短い髪がゆれる。

「どうした?」
「ううん。春彦ここで何してんの?」

みやびはオレの顔を見て首をかしげた。

「桜を見ると春だなって感じするだろ?オレ桜好きだからさぁ〜」

さきの言ったことが気になってみやびの顔をまともに見れない。
みやびは気にしてないようだが・・・。

「私、桜って大好き」

降ってくる花びらをみやびは手の平に上手く乗せて笑った。

女の子だなぁって思った。

ミニスカートはいて、
髪にピンドメとめて。
花が好きだって言ってんだもんなぁ。

そんなことを考えていると
「春彦のことおヨメさんにしてあげてもいいよ」

みやびは後ろで手を組んで笑った。

「・・・ヨ・・・ヨメ・・・?オレが?」

顔が熱くなった。

「さっきオレがもらってやるって言ってたじゃん」
「あ・・・いや・・・それは・・・」

まともにみやびの顔を見れない。

「何言ってんだよ。みやび。それってなんか・・・あれ・・・」
「私、春彦のこと好きだよ?」

オレの手をにぎってきた。

「・・・・・・」

オレもみやびの手をにぎった。

こんなこと考えたことなかった。

オレがみやびに告白したらって考えたことはあるけど・・・。
みやびからの告白は想像もしていなかった。

なんて言っていいのか分からない。

ドッキリなんかじゃないのか考えてしまう。

でも、
でも、
もし本当ならここは
『オレもみやびのことが!』
とかカッコよく言ったほうがいいのか。

「ほ・・・本当・・・?」

一応聞いてみた。

「うん」

みやびの顔が赤くなっていく。

本当なんだ・・・。

オレはみやびの背中に手をまわして抱きしめた。

「・・・春っ・・・」
「オレも」
「エヘヘヘ」

みやびは小さく笑った。

「ヒュー熱いねぇ。お2人さん」

悟と守が木の陰からこっちを見ていた。

「・・・!!」

みやびをオレから離した。

「悟っ!何やってんだ!?」

悟の長い前髪をつかんだ。

「春〜顔怖いよ〜?彼女できたじゃん?オメデトさ〜ん」

悟がからかうように言うと守も続けて
「小さい時から好きだったんでしょ〜?」
とニヤニヤとして言った。

「か・・・からうな!」
「別にからかってないゼ?なっ?守〜」
「うん。お幸せにネ〜」

守の肩に手をまわした。

「よかったな」

悟はカワイク笑うと守と教室に戻った。

「はぁ〜・・・」

絶対にからかわれている。

「ねぇ春彦。お願いがあるんだけど・・・」
「なんだ」
「明日料理教えてくれる?」

みやびはミニスカートの裾をつかんだ。

「一応女子だし。春彦に点数つけてもらいたいの」

てれ笑いをして下を向いた。

めちゃくちゃカワイイ。
オレの心臓が激しく動いて止まらない。

「いっ・・・いいっよっ!」
「本当!?・・・・・・!!」

みやびは頭を押さえた。

笑うと1人ですぐに教室に戻っていってしまった。

「まだ・・・話の途中じゃ・・・ないのかな?」

みやびが一瞬痛そうな顔をしたかもしれない。
どっか悪いのかな・・・?

「やべぇよ!超やべぇよ!」

オレはそんなことすぐに忘れて桜の木に頭をぶつけて笑っていた。

「ハハハハハ!!」

痛みも感じない。

「夢!?まさか・・・!!」
「夢じゃねぇよっ」

悟が頭をつついた。

「悟!?戻ったんじゃ・・・」
「うん。でもここに戻ってきた」
「なんで?」

飲んでいたオレンジジュースのストローを口から離した。

「みやびが保健室行ったから」
「ケガしたのか!?」

オレは悟の腕をつかんでいた。

「いや、特に。でも、みやび最近保健室行くよなぁ」

みやびは昼食中に保健室に行くようになっていた。

授業中にも行くことがある。

「まぁな・・・」

口に手を当てた。

みやびにどうしたのか聞けないまま、
みやびは早退をした。

心配だったが家が遠い。
オレは家に帰るしかなかった。

メールアドレスは知らないし、
電話番号も知らない。

何もできなかった。

「彼氏みたいじゃねぇなぁ〜」

ベッドに横になったまま寝てしまった。

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