1/19ページ目 :1 苦しい・・・ 死にたい・・・ オレは本当は生きてちゃいけないんだよ・・・。 オレじゃなくてカナコが生きれば良かったんだよ・・・。 1年前。 オレはいつも通りに学校に行く途中だった。 毎朝6時に家を出るのは理由があった。 誰もいない道を歩くのが好き。 道草をして学校に行くのが楽しい。 朝ご飯を食べないで出て行って途中にあるパン屋でクリームパンを食べるのが好き。 母ちゃんに何を言われようがおかまいなしだった。 オレはクリームパンを口にくわえて校庭のど真ん中を横断中、 声をかけられた。 女の子がこっちに駆けて来る。 「きっさらぎくーん!!」 女の子はオレの背中に体当たり。 オレはむせた。 「なっ・・・誰!?」 真っ黒なロングヘアーが風で揺れた。 女の子はニッコリ笑った。 「あたし梅宮カナコ。知らない?」 「知らないけど・・・」 「そう・・・」 彼女の表情が一瞬暗くなった。 「転校生ですか?っていうかオレの名前何で知ってんの?」 「如月ゆみちか君でしょ?」 彼女はズバリと言った。 「うっ、正解;」 「あたしは何でもおみとーしなのよん♪」 オレは気味が悪くて無視して校舎の中に入った。 彼女は追いかけてきて言った。 「何で無視するのかなぁ〜?」 「知らないあなたと話したくありません;」 「あなたじゃない。カナって呼んで」 「知りませんよ・・・;」 オレは残りのクリームパンを口の中に詰めて靴を履いてスタスタと階段を上った。 3年の教室は1番上だから上るのがキツイ。 でももうあと4ヶ月で終わる。 卒業するからだ。 推薦で大学の合格は去年から決まっている。 カナはオレの腕を引っ張った。 「何ですか;オレにかまわないで下さいよ」 「あたしと友達になってくれない?」 「はぁ!?」 オレは思わず阿呆な声を出してしまって口を押さえた。 「如月君はおもしろい人ね」 カナはおもしろそうに笑った。 「オレと友達になりたいなら自分のこと教えて下さいよ」 カナはあごに人差し指を当ててから胸に手を当てた。 「あたしは梅宮カナコ。歳は20歳。一応3年生」 20歳で3年生・・・!? もしかしてカナは留年している? 「失礼だと思うんですが・・・留年してるんですか?」 カナはうなずいた。 きっと軽いから勉強せずに留年したんだろう。 オレは適当に考えて話を進めた。 「何処のクラス?」 「6組よ。如月君は?」 6組っていったら落ちこぼれがいるクラスじゃねぇか。 「オレは4組。」 「そうなの?遊びに行ってもいい?」 「うーん・・・」 「やったぁ!!」 返事をしていないのにカナは嬉しそうに飛び跳ねた。 「じゃ、オレ今から勉強時間なんで」 オレは先に教室に入った。 しっかしおかしな女だ。 普通に話しているオレもおかしいが・・・。 オレは机に宿題を並べた。 オレが早くに来る理由もこれにある。 家に帰って宿題をしないからだ。 家には誘惑がたくさんあって集中できない。 教室でやる方が忘れ物もしないし。 窓を見ると雪が降っていた。 天気予報では明日から雪が止むらしい。 桜の木が蕾をつけるのをオレは待っていた。 宿題を終わらせた時やっと教室にクラスメイトが入ってきた。 クラスメイトは口々に言う。 「あいつまた早く来てるぜ?」 「暗いよねぇ・・・」 「勉強とかしてガリ勉かよ」 オレはシャーペンを握りしめて下を向いた。 いつもこうだ。 オレにはここに居場所はないんだ。 オレは昼休みになって屋上に向かった。 屋上は立ち入り禁止で誰も来ない。 1番落ち着く所だ。 ドアを帰ると鳥が羽ばたいてカナの姿が目に入った。 「あ、如月君」 カナは手を振った。 「いつもここにいんのか?」 「今日初めて来たの。見晴らしが良い所だね」 カナはカバンの中からアンパンを出して口の中に入れた。 口元にパンカスが付いた。 「んっ!おいしい!」 「オレの特等席だ。よけてくれ」 オレはカナの横に腰を下ろした。 カナはオレの横で気にせずアンパンを食べた。 本当におかしな女だ。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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